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ミトコンドリアDNA(つづき)


前回http://d.hatena.ne.jp/niming538/20071104は一応の評価を書きました。その後ビデオにとったのをつらつら見ています。途中結構時間をかけてD4は大陸に多いので大陸から来た、Fは東南アジアに多いので南方から来たと思う、というような、ま、そこが見る人の興味の対象ですのでしかたないのですが、大雑把な議論が進んでいましした。


長い歴史の後の今ですので、今、そのタイプのミトコンドリアDNAがどこに多いからと言ってそこから来たわけではありません。そうかもしれないけどそうでないかもしれない。それじゃぁ何もいえないではないかと言われそうですが、そうではない。ひとつは考古学的に掘り出した骨から相当の確率でミトコンドリアDNAが取れる。もうひとつはミトコンドリアDNAの系統図とそのバラエティで証明できる部分がある。


たとえば、系統図でアフリカ以外の全ての民族のミトコンドリアDNAがL3に収斂する。一方、アフリカにはL3を含む13タイプの系統がある。このことから、アフリカ以外の全ての民族が約10万年前(テレビでは6万年前と言っていました)にアフリカから出てきて世界に広まったことが証明できる。


注目して欲しいのは、そのタイプがアフリカに多いからアフリカから来たなどとは言っていないこと。


D4タイプのモンゴロイドは日本で25%と最大を占めるがこれはモンゴル、中国、朝鮮、日本に多い。日本では縄文時代から居る。人数を別にすれば、黄河伝いに海岸から広まったのか、内陸から海岸に向けて広まったのかはまだわからないというのが正解だと思います。


アフリカ起源と同じ証明方法を取るとすると、系統図でD4が分かれたと思われるレベルのタイプのバラエティが多い地域が起源と考えられると思う。


日本人のミトコンドリアDNAタイプ:16種類:A B4 B5 C D4 D5 F G M7a M7b M7c M8a M10 N9a N9b Z
系統図:L3(N(N1 N2 I W R(U H V J T (B4 B5) F) X A (N9a N9b) Y N(ausutraria)) M( (D4 D5) (M7a M7b M7c) (M8a (C Z) ) M9 M10 M11/Q(melanesia) E G))


系統図は今回はカッコであらわしましたが、つまりアフリカイブのL3がN系統とM系統に分かれ、それぞれがまた分かれていく、というような読み方をして下さい。日本にはN系統のFやB4 B5がいて、一方M系統のD4やM7aがいます。D4については大陸から来たという説がいまだに有力です(証明されていない)がFやB4 B5 M7aは東南アジア系であることが立証されています。途中の通路であるインドにはM系統しかいないので、N系統の東南アジア系は一度通ってから絶滅したということが証明されると思いますが、これはまだ定説にはなっていません。


あとついでに南北アメリカへの人類の伝播について氷河期末期(1万3千年前)にベーリング海峡がつながっていたころに渡り、1000年で南端まで行ったとコメントしていましたが、これは定説ではありますが、オッペンハイマーが否定しています。もっと昔に移住しているという話。


あと、大きく欠けていたのが、アボリジニ(オーストラリア原住民)とメラネシアニューギニア高地人)のタイプについての言及です。この辺をはっきり正確に知りたい。オッペンハイマーの本(人類の足跡10万年全史)にはそこそこ詳しいのですが、一冊の本だけで判断できないのでもう少しいろんな形の論文で読みたいと思っています。


追記:今後の数年の間にいろんなことがわかったり、間違った理論が定説になったりすると思うけど、今時点のわたしの仮説を書いておきます。
1.時間フレームは10万年。その大半は氷河期で過酷な気候であった。あったかくて海が広いのは最近の1万3千年の話。海が狭く、想像以上に陸がすべてつながっていた。氷河でつながっているのではなく、陸でつながっていた。陸のほとんどは生存不可能。
2.その海岸を伝い、貝を採集しながら現代人類は世界に広まった。考古学上の遺跡が1万3千年前以降しかないのは、海岸の遺跡がすべて海底に沈んでしまったから。
3.L3はN系統、M系統に分かれ、ヨーロッパにはN系統が繁殖。アジア〜アメリカにはN系統とM系統が流れていく。このことはL3がアフリカ起源であり、アフリカにはL3を含むミトコンドリアDNAの多様性があることで証明できる。アボリジニ、ニューギニア高地人、日本人には古い分岐にさかのぼらないと一致しないミトコンドリアDNAがある。またアメリカ大陸も南端に至るまである程度の多様性があることから海岸伝いに数万年前に一旦地球上に繁殖したことがわかる。
4.現在モンゴル、中国、シベリア、アラスカに住んでいる人たちのミトコンドリアDNAの多様性が低く、系統分岐が新しいのは、一旦滅んだあとに再移民したことによる。
5.農耕文化の伝播や戦争により、住民が入れ替わるという考えはドラマチックであるが否定される。ヨーロッパの骨の遺跡から石器時代のヨーロッパ人が現代のヨーロッパ人の祖先であることが立証されている。縄文人についても基本的には石器時代の住民が現代日本人の祖先である。
6.1万3千年前に氷河期が終わり、地球上に居住可能な大陸、広い海、雨、大木が現れる。木を切り、燃やし、船を作ることにより新しい形での繁殖と環境破壊により現代に至る。


とりあえずこんなところです。