ミトコンドリアDNAと中国人

オクスフォード・アンセスターズに登録すると自分のミトコンドリアDNAタイプがわかります。日本人はこういうのが好きらしく、数百人が登録しているのがデータベースをみるとわかります。この辺については以前に書きました。http://d.hatena.ne.jp/niming538/20071216


さて、中国人はほとんど登録されていないのですが、それでも何人かいるので数えてみました。オクスフォードアンセスターズのハプロタイプの命名法が通常のと違うので、推定ではありますが、カッコで示しています。人数の書いていないところはゼロです。sachi以下の順序は日本人の多い順。たとえばSachiだけで日本人が100人いますが中国人はゼロ。


sachi(D4, D5)
ina(B4, B) 1人
ai(A)
chie(C, M8a, Z) 3人
fufei(F) 3人
malaxshmi(M7a, M7b, M7c, M10)
nene(N9a)
emiko(M9, E) 1人
aiyana(A)
yumi(N9b)


あまりに少ないのでサンプルにならないかもしれませんが、よく本に書いてある日本で一番多いD4が中国でも多いというのがまず当てはまっていません。一人もいない。

chieとfufeiが3人ずついます。Fは南方系とのことですが、C、M8、Zについては、篠田謙一の本でも若干説明に揺れのある部分です。


世界に飛び立った華僑が豊かになってルーツ探しにミトコンドリアDNAを調べている証と考えると、面白いかもしれません。


わたしの推測というか解釈を書いておきます。まず時間枠ですが、ミトコンドリアDNAの分布ができたのは数万年前で、当時の人口が少なかったのと気候変動があるので、あちこちで遺伝子的な浮動が生じた。日本にハプログループの多様性があるのは、あちこちから人が来たからではなく、当時の人の移動の過程で海岸線近くでハプロタイプが多様化して行ったことのなごり。

その後1万3前年前に氷河期が終わり、大陸が人の住めるところになり、一方海による分断が完成する。人が住めるようになった大陸では生産性の上昇、人口爆発、移動が始まる。中国ではハプロタイプFに象徴される南方系中国人、文化的な漢民族を象徴するM8a(漢民族にはかならずあるが、韓国人には少ない。日本人にはある)、北方系(韓国・朝鮮・満州)を象徴するD4が数千年をかけて分布する。


華僑は広東人、客家人、福建人、等南方系の漢民族が多いところから、上記のオクスフォードアンセスターズの結果になっている。すなわち南方を象徴するFが多く、漢民族を象徴するM8が多く、北方を象徴するD4が少ない。

以上