SNPによる人類史

英文の本文
http://www4a.biotec.or.th/GI/publications/bsi/PASNP-Paper.pdf/view
ニュースはこちら
http://www4a.biotec.or.th/GI/publications/bsi/PASNP-News.pdf/view


今回のSCIENCEの論文読んでみてのメモ。


1.同じ雑誌の記事なのにNEWSと本文がだいぶ視点が違う。
2.NEWSの方には人類伝播の地図が載っているが、本文ではそうは言っていない。もっと大雑把な話で、東アジア人は東南アジアから来たということを立証している。
3.歴史時代と先史時代(prehistoric)という言い方を本文はしていて、人類が広まったのはprehistoricな時代の話。
4.漢民族が現在のように人口が増えたのは歴史時代に入ってからの話。
5.そのような観点なので、地図を描くような視点とは逆の視点の論文だと思う。
6.Prehistoricな期間は数万年と長いにもかかわらず、あらゆるデータが南からだけの、それも一回きりの伝播を示唆している。中央アジアからの移住や2波に分かれての移住を完全否定はできないかもしれないと言いながら、ほぼ否定してる。
7.NEWSの方はその辺を今後の議論としているように読める。
8.SNPとその分析方法がよくわからない。ベイズ理論のSTRUCTUREアルゴリズムを使ってクラスタリングを行った結果とSNP分析のDNA分岐と、さらに人種・言語のかたまりが一致する、ということで若干出来すぎな感じがする。
9.多数の小数民族についての記述が多く、参考になった。ネグリトとか。
10.Y染色体に限った分析や、ミトコンドリアDNAの分析が欲しかったが、まったく言及がないのが不思議。同時にやれば効率的なのにと思う。
11.アボリジニ、ニューギニア高地人、が調査対象に入っていないのが不思議。政治的にできないのかもしれない。


つづく。