インフレと生産性

お金を発行すれば必ずインフレになる、という人はいくつか間違いを犯していると思います。お金が金や銀のコインだった時代で、現金取引しかなかった時代ならばお金はただの物ですから、需要と供給の関係で希少になれば価格が上昇します。しかし、金銀との交換性がなくなり、しかも、信用による取引が経済の大半になっている現在はお金を印刷する量を変化させることによる市場の制御は非常に限られたものになります。また、ある国で金利を上げて通貨量を減らして緊縮財政を取ってもとなりの国がじゃぶじゃぶお金を使えば物価は下がりません。


ここで関係してくるのが為替レートと生産性です。中国と日本だけをみると、為替をあるべきレートより過小評価しているので、中国ではインフレが起き、逆に日本円が過大評価されているのでデフレになっているように見える。しかし、為替レートを正しいものとして考えると、生産性の低い国の物価が上昇し、生産性の高い国の物価が下がります。


マーケットが間違っていると不平を述べてもなんの解決にもなりませんので、日本の何がそんなにまで世界に評価されているのかを謙虚に自覚し、世界に対してどんな貢献ができるかを考えたいと思います。