書き順 「発」「必」「蜜」 中国語

小説新潮」オンライン連載小駒勝美の「漢字こぼれ話」
http://www.shinchosha.co.jp/shoushin/kanji_ichiran/ichiran.html
というサイトがありました。それはそれでおもしろいサイトのようですが、その中に
vol.29 日中の書き順
という回があって、日本と中国の書き順の違いについて書いてあります。
以下引用

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(日本)「左」は「一」から書くと思えば、「右」は「ノ」から書かないと×になります。(日本)「十」は「一|」の順に書くのに「田」や「王」の中央部の「十」は「|一」の順です。
(日本)「登」や「発」の「癶(はつがしら)」も驚きです。「癶」の右側は「チョン」を一つ書いてから「右ハネ」を書き、その後もう一つの「チョン」を書くことになっています。
(日本)「必」の字はすなおに見れば「心」と「ノ」が合わさった字にしか見えません。それなのに「ソ」を先に書いてから「タスキ掛け」を書き、おしまいに左右の「丶」を書けとは、あまりにひどい話です。字源的にはこの筆順が正しいと教えられても実際の活字は字源とは全然違う形をしているのですから。
この筆順、中国ではどうなっているのでしょう。中国でも、筆順が国によって定められています。基本的な原則は日本と変わりませんが細かいところではかなり違う点があるようです。手元に「常用字筆順字典」という本があるのでこれで問題の字を引いてみましょう。
 中国では「左」も「右」も「一ノ」の順に書きます。これならいちいち混乱しなくても済みます。「田」や「王」の中央部の「十」の部分も「十」と同じ「一|」の順です。
「発」の字は日本と全然違う簡体字になっていますが、「登」は同じです。比較してみると「癶」の右側は「チョン」「チョン」「右ハネ」の順です。
「必」は「心」を3画目まで書いたところで「ノ」を書き、おしまいに右端の「丶」を書きます。「心ノ」ではありませんが日本の書き順よりはだいぶ素直です。

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さて、最後の「必」の字の書き順(筆順)ですが以前わたしは中国ではこれは「心」を書いてから、左払いの「ノ」です、と書きました。あわてて調べてみたら、中国の笔顺サイトでも間違いやすい例として、「心」に「ノ」ではない、と書いてある。
私が準拠したのは、台湾の筆順辞典で、これもよくみると、「必」は「心」に「ノ」の書き順ですが、蜜の中の必は、「心」を3画目まで書いたところで「ノ」、「泌」の必は「心」に「ノ」の書き順と揺れがあります。
大陸では、蜜の中の必、「心」を3画目まで書いたところで「ノ」の方に統一されたということでしょうか。

台湾と大陸で筆順が違う例はめったにない(わたしとしては初めて)なので、長々と書きました。今後も見つけたら書いてみます。

追記(2007/05/13):検索で「必の書き順」、「心の書き順」でこのページに来られる方が多いようです。「必」については上記に書かれていますが、「心」については書いていないので、書きます。日本も中国も同じで、左の点、中央から右下への長い「し」、上の点、右の点、の順序です。