ドラッカーが生きていたら

池田信夫blogの「金融危機についての入門的まとめ」を読んでなんとなくいらついて以下かきなぐりです。すいません。

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ドラッカーが生きていたら、「大恐慌」とは言わないと思うものの池田信夫とはずいぶん違った見方をするのではないかと思う。なにが入門だ。経済は入門とかレベルとかではないのだと思う。とりあえず反論。

1.金融危機の原因は大恐慌とは違う。
って、そりゃ違う面もあるが同じ面もある。信用収縮である点は同じ。サブプライムとかの新しい概念や複雑な計算式に惑わされてはいけない。すごく同じ。

2.大恐慌は再来しない 。
というのも単純すぎる。別に大恐慌は金本位主義だけで拡大したわけではない。経済は相対的なのでどこかの国が保護主義のような政策をとると世界のバランスが収縮に向けて加速する。その可能性はない、と言い張るのが当局の仕事なのであって学者の仕事ではない。

3.大量失業の原因は「需要不足」ではない。
原因が需要不足なのか結果が需要不足なのかと言われれば結果と言わざるを得ないが、マクロの需要と供給の概念は重要な概念であり、それを否定しては議論が進まない。「需要不足」である現実を見るべきである。

4.日本の長期衰退の原因も需要不足ではない。
同上。生産性の低下が原因という議論はあり得るが、生産性は非常に測定が難しいものでむしろ現実には生産性向上は結果である。現実は「需要不足」。

5. 財政政策で問題は解決しない。
むろんその他の政策も大切だが、財政政策は非常に大切な問題解決の手段である。一時しのぎにしかならないという言動でなにを言おうというのか。一時しのぎが必要な時期なのだと思う。

6. 伝統的な金融政策はきかない。
同上。ゼロ金利にすれば自動的流動性が担保されるわけではない。流動性は大事。金融政策大事。あたりまえ。むろんリスクもある。

7.日本の不況は「輸出バブルの崩壊」だ。
って何を言いたいのか? 輸出だけで経済がなりたっていたわけではない。円高バブルだってあり得るのだからもう少しなにか考えてからしゃべってほしい。

8.輸出不況には二重の原因がある。
「輸出バブルの崩壊」と言いながら、輸出不況の原因を書いている論理構成がわからん。輸出だけで経済がなりたっていたわけではない。世界第二位の経済を回すのは主に国内なのだと思う。輸出も大切だし、輸出以外の経済はもっと大切。

9.過剰貯蓄が世界経済を不安定にする。
この、貯蓄が行き場をさがしてバブルという論理構成はマネーのことを分かっているのか疑問。お金は投資機会を探してうろうろするのは確かだが現在はバブルがはじけて収縮期。その中で日本への期待が円を押し上げているがこれがバブルということか?

10.非伝統的な金融政策の効果は疑問だ。
必要でやることに「成算」もなにもないだろう。よくわからん。

11.人為的インフレ政策はきかない。
あたりまえすぎてクルーグマンを誤解しているとしか思えない。いまはやらなければいけないときに何を言っているのか。

12.雇用規制の強化は「官製失業」を生み出す。
だから、あたりまえ過ぎて、政治をなめているのかと問い詰めたい。わかっていてもやるべきときがある。歴史をみればあきらかだと思うがどうか。

13.ドル基軸の世界経済構造は変わらない。
変わらないように努力すべきということではないのか? ドル基軸が変わるような状況が起きたらそれこそ世界恐慌でしょう。(物への回帰)

歴史から学ばないでどんな政策がとれるというのか?
歴史のメッセージは時間との戦いで、とるべき政策をどんどんスピード感をもって行うことがどんなに大切か、ということだと思う。議論は議論であってよいが、ひとつひとつの結論の方向性が間違っていると思う。

以上