WILL「田母神論文を殺すな」


WILLは初めて買った雑誌ですが、たいへん面白かった。田母神論文特集としても面白かったし、秦郁彦の論文もあってバランスもとれていていたずらにイデオロギー論争になっていないのがよかったと思う。黄文雄の台湾についての記事も最近の台湾のニュースがちゃんと入ってこない状況で、台湾を心配している自分としてはとてもうれしかった。

「日本は侵略国家だったか」と言われれば、まず定義による、と答えて、当時の世界情勢の中では侵略国家ではなかった。というのが正解だと思う。マスコミが間違っているし、おかしい。今回NHKも含めてあんまりヒステリックなので、陰謀論に加担したくもなるが、戦後の教育の洗脳なので時間がかかるのだろうな、くらいに受け止めています。台湾が心配。あんないい国が自分の選択で落ちていくのをとなりで黙って見ていなければならないのだろうか。この世に悪があるとすれば共産主義だと思うのに、なんであんなに簡単に呑まれてしまうのだろう。日本のマスコミも含めて。

と、簡単に主張は述べておいて、さはさりながら、張作霖爆破1928から、盧溝橋事件1937、ハル・ノート真珠湾開戦まですべてコミンテルンの陰謀にしているのはやはり論理構成としてまずいでしょう、とはだれでもいうことですが、言っていることは正しいのに事実誤認や、一方的な書き方があるとせっかくの全体の主張のレベルを落としてしまうので残念です。知的レベルがその程度と見られてしまう。たぶんその程度なのだと思う。

ユン・チアンの「マオ―誰も知らなかった毛沢東」だっけ、にある話は、さすが、ユン・チアンは歴史家の夫がいるので、押さえが利いた書き方をしているのに、こうして一方的に使われるとユン・チアン自体の価値も下がってしまうようでこれも残念。自伝的小説「ワイルド・スワン」と歴史書「マオ―誰も知らなかった毛沢東」を読めばほぼ共産党中国についての正しい理解が得られると思います。私はワイルド・スワンは英語で読みました。地名人名がわかりにくいので翻訳で読むのを勧めます。原文は英語で書かれました。中国語訳はたしか「鸿」です。「マオ―誰も知らなかった毛沢東」は日本語訳で読んだのですが、英語の原文Mao: The Unknown Story, Jun Changと、彼女自身が訳した张戎「毛澤東:鮮為人知的故事」も購入してあります。部分部分確認用に使いました。
ノーベル賞出してもいいくらいの作家だと思う。ここに書かれていることが現在は世界の常識。その中で若干行きすぎ的にコミンテルン陰謀論が書かれています。

これほど明確に「悪」であった毛沢東を支持してしまった、エドガー・スノウ、キッシンジャー、世界、田中首相、という時代を考えるとオバマ政権での日本もがんばらなければいけないと思う。短気を起こさず、説得をし続けるしかないですかね。昔よりは世界は良くなっていると信じたい。