漢文と東アジア -- 訓読の文化圏
金文京
という本を読みました。帯には「漢文訓読は日本独自のものではない」とあって、朝鮮語、ベトナム語、ウィグル語、モンゴル語、契丹文字、突厥文字、西夏文字、女真文字、パスパ文字、いろいろ出てきます。が、早い話、中国語の語順が変なのであって、周りの国々がそれを読むときに、返り点数字や返り点を振った例がいっぱいでてきます。
英語を含む西洋語と中国語の語順が似ているのでつい、その方が一般的だと思い勝ちですが、東アジア文化圏だけでなく、世界中の言語のほとんどが日本語と同じように動詞が最後に来るのが普通で、中国語のような言語を理解する際に番号を振ったり順序を入れ替えて説明したりするのはあたりまえだと思います。
ま批判はともかく、いろんな言語が出てくるので楽しいです。以前、周辺の国が作った文字は劣化した漢字でばかりであって、独自の表音文字を作ったのは朝鮮人だけだと、習ったことがあったのですが、とんでもない、周りの国はそれぞれ自分の言語をあらわす表音文字を作っていて、むしろ最後に作ったのが朝鮮だった。
しかし、ユニコードをつらつら眺めていると、文字のデザインの豊富さに感心します。表音文字ならアルファベットだけでいいじゃんと思わないでもないですが、漢字を使わなくなった国の人はどう感じているのだろう。不便だけどがまんしているのかな、それともそれぞれの言語に合っているので便利なのかしら。
読後感としては、著者の意図とは違いますが、やはり日本の漢字かな混じり文はすごいと思いました。