NHKサイエンスZEROスペシャル 最新「分子人類学」で日本人の起源に迫れ

というのがあって、ミトコンドリアDNAでの日本人の起源分析をやってました。ビデオにとったのでいろんな角度から分析したいと思うのですが、最大の成果と思うのは次の点です。


縄文人の骨と弥生人の骨、および現代人のミトコンドリアDNAからの結論として、縄文人のミトコンドリアDNA分布はほぼ弥生人、現代人と同じ。つまり、あちこちで書かれているアイヌ人や沖縄人が縄文人で現代日本人はその後最近になって大陸からやってきた人というのは「ウソ」。


相当遠慮しながらの番組で、最大の分布(25%?)を占めるD4は中国北部、朝鮮、日本に多いのでこれは大陸から朝鮮半島を通って来たと思われる、というも言っていましたが、それはそれ、それと縄文人から弥生人の文化的、解剖学的変化との関係をきちんと切ってくれたのが最大の成果だと思います。


いろんな制約がかかっている中での研究(人種論に結びつかないように気をつける必要がある)なのでたいへんだと思いますが、仮説は仮説、事実は事実で正しく知りたい。

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追記:上記の最大の成果(縄文人と弥生人は人種としては同じことの証明)はなんども声を大にして言った方がいいと思う。日本にはいろんな起源の人がいるかもしれないが、それは縄文時代弥生時代という時代変化とは関係ないもっと昔に起こったこと。これは明らかなことであり科学的に証明された。ヨーロッパも農耕文化と共に人が移住して行って、古い民族がケルト人とかいう説も長いこと言われ続けて、今もそういう人は後を絶たないが、ミトコンドリアDNA的にはこれもウソ。この辺は人類の足跡10万年全史(オッペンハイマー)に詳しい。


さてミトコンドリアDNAではDNA配列の変化を見るので、どのタイプからどのタイプが派生したかがわかります。

このことだけからはどこからどこへ人が移住していったか、それはいつのことかはわかりませんが、この派生図と各タイプの分布とそれ以外の要素を重ねあわすといくつか証明ができる。テレビでは時間をかけてこの証明をやるのがむずかしいですが、すべての人類はアフリカからそれもたった一回の移住から始まったというのは証明できている。アフリカの13種類のタイプのそのうちの1種類のタイプが白人、黒人、アジア人、アボリジニ、ニューギニア人の母につながる。このことをアフリカから移住していったという説以外の仮説で説明することはむずかしい。


D4が中国と韓国と日本に多い、ということだけではなにも語れませんが、D4以外の各タイプがどのように分布しているかと、その派生図により、古代の人の移住路が見えてくる。むろん簡単ではないのと、いろんな仮説を検討する必要があるけど、その研究は始まったばかり。


オッペンハイマーの本からおぼろげにわかるのはこの10万年の間、地球は主に氷河期であったこと、海岸伝いに世界中に移民が可能であったこと、今では証明不可能なくらい昔にニューギニアとオーストラリアには到達していたこと、日本にも比較的早い時代に人が来ていたこと、その後、気候変化や火山活動により分断があったり、大陸の中まで移住があったり滅びたりしながら、現在の状況に至っていることなどです。


ではまた。


続き=> http://d.hatena.ne.jp/niming538/20071111