中前国際経済研究所代表中前忠が、日経か朝日に書いている「十字路」というコラムがあります。今回のものの出だしです。
(引用)
名目為替レートが変化しないなかでデフレが進行すれば、実質的に通貨は切り下がる。これは、必要な通貨の切り上げができないと、インフレによる実質的な為替レートの調整が避けられないことを意味している。
(引用終わり)
為替について考えることは頭の体操になるので、とてもいいのですが、人の書いた為替についてのコメントはたまにいらいらする。中前さんはプロですので、バカなコメントのように、為替が上がる、下がるの予想はしていません。それがまずは救いですね。(為替は自由マーケットの結果なので、現在価値がすべてであり、将来上がるものなら今上がる。時間軸はない。)
さて、引用文が変なのは、要約するとデフレになればインフレになる、と言っていることになって、ということは現在に戻すとデフレは続かない、というだけの話になってしまう。
コラムの途中では、中国を例に出して、中国の輸出部門(外資企業)を見ると人民元切り上げは必然だが、生産性の低い国内部門の観点からは切り上げは論外であり、通貨切り上げはできない。この結果、中国国内のインフレが加速し人民元は実質的に切りあがって行く、と書いてあってこれはそこそこ合っている分析と思う。
日本の分析と中国の分析の違いは、「生産性」の観点を入れているかどうかだと思う。本来為替レートが調整機能を果たすはずなのだが、為替を与件とすれば、為替が示すよりも生産性が高ければ、デフレ(日本)、低ければインフレ(中国)ということだと思う。
合っているかな?