写真入りのピアノの歴史や構造を書いた本はいろいろありましたが、どれもあまり詳しくなくてこの本もたいしたことないだろうなぁ、と手にとったのですが、とてもよい本だったのでご紹介します。
現役の調律師が書いた本でピアノのどこがどのように壊れてどのように直すかが手に取るように書いてあります。
書き方もたいへん公平で著者なりの結論も出しますが論理的なので、違う意見でも腹が立たない。
例えば、わたしはどんなに小さくてもグランドピアノという主義ですが、著者は150cmくらいのグランドピアノは弦の長さがアップライトより短いため音がアップライトより悪いのでアップライトの方がよい。と書いて、それでもアクションは小さいグランドピアノでもグランドピアノのアクションなのでアップライトは違うと書いている。つまり、評価の角度が違えば評価は違うがトータルとしては音で選ぶべき、というとても文化的な書き方ですね。
調律師というと普通スタインウェイの調律師がエラぶって書いていますがむしろその対極にいるかもしれません。同じ値段なら十中八九新品の方がよいということを何度も言っています。古いスタインウェイと新しいヤマハなら、という言い方はしてませんが、同じ値段なら新しいヤマハを買いなさいという感じです。