江戸の読書熱―自学する読者と書籍流通

鈴木 俊幸

という本があって、江戸時代18世紀にいかに一般市民まで本を読むことが一般化したか、ひらかなさえ読めれば論語が読めるしくみがいかに成立したかあたりが書かれているらしい。いま注文したところなので、まだ読んでいませんが、わたしの興味は論語はもちろん中国語で、ひらかなは日本語ですので、たぶんわれわれが現代高校の漢文で習うレベルだろうと思い勝ちですが果たしてそうなのか、というあたりです。

というのが、明治の人の文章を読んでいると、漢字が多いだけでなく、当時の世界情勢に関する情報を中国語を通じて得ていたふしがある。中国人が日本語を通じて情報入手していたのと同じくらい、いやそれ以上に日本人は中国語の情報を読んでいた、読めていたのではないか。
漢文教育は古典を読むだけでなく、古典がまだ生きている時代でもあるのですが、近代の情報手段としてあったのではないか。
この辺について、なにか言及があればうれしいと思って注文しています。


追記:2007/07/05。セブンイレブンで届いた本を受け取って一応その日のうちに読みました。注文して3,4日で届いたかな。実証的な本なので、たいへん読みにくいのとくどいのですが、江戸時代の文章もいっぱい載っていて、あ、江戸時代の続きに現代があるのだなぁ、と改めて認識しました。お勧め。
私がこの本を買った目的のコンテンポラリーな中国語を江戸末期の知識人がどの程度入手して読めていたかを知る手だてにはなりませんでしたが、それはそれで調べます。(夏目漱石、芥川の中国語読解能力の高さは、この本にあるような論語素読だけでは無理のような気がする。)