ハプロタイプ


ハプロタイプhaplotype、ハプログループhaplogroupについてoxford ancestorsの記事だけではどうもあやしいので、ネットをうろうろして、The emergint limbs and twigs of the east asian mtdna treeという論文をみつけました。
それによると、ハプロタイプのツリーは下記のようになっています。

N(R(B(B4(B4a B4b(B4b1) B4c)
      B5(B5a B5b))   # Ina
    R9(R9a F(F1(F1b (F1a F1c)) F2(F2a)))   # Fufei
    U  # European family
    HV
    JT
    P) 
  A(A4 A5)   # Aiyana
  N9(N9a Y(Y1)) # Nene and Yumi
  N1
  X
  W
  Australian Aborigine) 

M(M7(M7a(M7a1) 
        (M7b(M7b1 M7b2) 
         M7c(M7c1(M7ac1a M7c1b M7c1c))))   # Malaxshmi
  (M9(M9a E(E1))   # Emiko
   G(G1 G2(G2a) G3)   # Gaia
   D(D4(D4b D4a) D5(D5a)))    # Djigonasee/Sachi
  M8(M8a CZ(C Z))   #<= Chie
  M1   # already used
  (M2 M3 M4 M5 M6)   # India
  Q(New Guinea))

オクスフォード・アンセスターズのより詳しいのには理由があって、A、B、C、Dとかの判別には通常16000から16400の部分のDNA配列を使うのですが、この論文ではその部分を尊重しながらもミトコンドリアDNA全体の変異部分を使っています。そうすることにより従来よりより正しく、詳しく分類ができている。

ミトコンドリアDNAはアメリカインディアンの研究でA、B、C、Dと分類されていき、それに数字をつけて細分されたのを受けて、1-4は使われない。A4とかD4とかから始まる。MについてはM1がすでに使われているのとインドでM2からM6までが使われているので、M7から始まる。NとRについてはわかりやすくするため、アジア系は10近くN9、R9など、を使った、とのこと。論文の中にある表は系統図だけでなく、その根拠になる変異位置の数字が記されているので参考になります。必須。

Nタイプのアボリジニにはハプロタイプ名がついていない。Mタイプのニューギニア高地人はQというハプロタイプ名がついている。どちらもNおよびMの根っこから枝分かれしている。

Discussionのところの次の英語がわからないし、あやしい。
It is then remarkable in view of those events that the variation seem in M7 is not shuffled between Koreans and Japanese, quite in contrast to B4. This could point to the considerable geographic substructure of the Korean mtDNA pool at that time (paralleling the probable linguistic situation), so that the migrants carried only a limited number of M7 types (perhaps) M7c1 types and the ancestral type of M7a together with a one-step decendant).
この前の段落で、M7系は縄文時代以前に東南アジアから日本に移住していてM7a、M7b、M7cの割合がアジアの各地域によって非常に違うと書いてあります。後の段落でY(アイヌに多い)は北から来たと書いてあります。途中のこの部分はA5、B5、C、F1a、N9a、Zが韓国から日本に弥生時代にやってきた人たちと書いてあって、そうすると理屈が合わないのはなんでかなぁ、という部分がこの英文。私に言わせれば仮説が間違っているから理屈に合わないのだと思う。文章に突然B4が出てくるのですが、文章から逆に推定すると、B4は日本と韓国に多くて、M7aについては韓国にもいるけど日本に多い、という状況でしょうか。いずれにしても意味不明ですが、前提としてすべてが大陸から来たはず、と思い込んでいるところに無理がある。全ては海岸から大陸に広まったと考えて、氷河期が終わる過程で海岸の各地が孤立化し、浮動が起こった。一方、大陸は人が住めるようになったので、たまたま海が陸地を分けるころ、大陸側にいたDNAたちが川沿いに広まっていった。だからバイカル湖に日本人と同じDNAが残ったり、日本人の最大のDNAのD4が中国人と同じだったりするのだと思う。