木簡によって万葉集以前の日本語表記がだんだん明らかになってきていますが、木簡の和歌(歌木簡)はすべて一字一音の字音表記で書かれているようです。
万葉集の万葉仮名のように訓読みがまざっていない。
漢字を表音文字として使っています。
まるで現代の中国語で西洋人の名前を漢字で書くのと同じなので、発音体系がまったく違うので似て非なるものだっただろうと思うものの、この方法であの時代の歌が残ったと考えるとすばらしいことだと思います。
表音文字として漢字をつかった例は他にもあって、仏典の翻訳時には
サンスクリット(表音文字)を読み上げ -> 中国語に音写 -> 中国語に翻訳
という手順をとったそうです。この「中国語に音写」の部分が漢字を表音文字としてつかっている部分です。
また、元朝秘史というモンゴルの歴史書があってこれが中国語なのですが、ウイグル文字によるモンゴル語から漢字で音写して、中国語の訳をつけたものとして残っているそうです。ウィキペディアに画像があります。
これはその時代13世紀あたりの中国語もわかるので一石二鳥ですね。
参考
仏典はどう漢訳されたのか 船山徹