「科学」という雑誌の2010年4月号特集「日本人への旅」を読みました。
おもしろかったのが、
<港川人>とは誰か 海部陽介・藤田祐樹
日本人形成論への誘い 溝口優司
あたりです。
DNAが語る"複眼的視点" 篠田謙一・安達登
は、結論も論旨も間違っていると思いますが、ミトコンドリアDNA研究の最新のところが載っていますので押さえておく必要がある記事でした。
<港川人>とは誰か 海部陽介・藤田祐樹
は、最新の復元によると<港川人>は縄文人ではない。また、現代の東北アジアや東南アジア集団よりも、オーストラリア先住民やニューギニア集団(オーストラロ・メラネシアン)の特徴と近い、としています。これはおもしろい。
ただこれは骨ですからねー。ミトコンドリアDNAほどには説得力がない。
ミトコンドリアDNAは篠田謙一・安達登の分野なのですが、ミトコンドリアDNAは事実はわかってもどこからどう移住したかとかはミトコンドリアDNAの分布からはわからないので、その言及を避けなければいけないのに、けっこう安易にいろんなことを言ってしまって収拾がつかなくなっています。まいいけどね。
全体をまとめる形で、
日本人形成論への誘い 溝口優司
がよかったです。
まだ知見のすべてに整合的なシナリオをつくるのは難しいとのこと。
オーストラリア東南部キーローの後期更新世人も縄文人の候補になる、とか、北海道縄文人がシベリアから来たという説については、アイヌからシベリア人に入った可能性もあるとか、なかなかわたし好みの説が書いてあってよろしい。
きょうはここまで。